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かげろう

 

真昼のど真ん中で ぎらぎらと照りつける 

真夏を持て余して じりじりと焦げてゆく

少年は我先に 砂浜へ走り出す 

少女は口々に あれこれ値踏みする

 

かげろう よろめいてる 

かげろう うなされてる

誰も彼も 巻き込まれてる 

めまい ゆらり ぐら ぐら 

 

沖に浮かびまどろむ 静けさに魅せられる 

砂浜はとても遠い場所の出来事のよう

塩枯れていく午後の長い長い続きが 

浮かんでは消えていく 満ちては引いてゆく

 

かげろう よろめいてる 

かげろう うなされてる

誰も彼も 巻き込まれてる 

めまい ゆらり ぐら ぐら 

 

波の音にかき消され 君の声が届かない 

ぬるくなる缶ビール うつろな泡のようで

長い午後が崩れて 夕闇がなだれ込む 

もう帰らなきゃ 急いで帰らなきゃ

醒めてしまう前に 冷えてしまう前に 

僕らは帰らなきゃ 急いで帰らなきゃ

 

かげろう よろめいてる 

かげろう うなされてる

誰も彼も 巻き込まれてる 

めまい ゆらり ぐら ぐら

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